新しい季節に

 いつものFM局の番組編成が変わったことで4月に入ったことを知る。嘘をつきそこねてしまい、あっと言う間に2日である。
 春を迎えた人の常として、何か新しいことをしてみようと思った。しばし頭をめぐらし、前々からほしかったデジカメを購入することに決めた。
 いくつかのホームページをのぞいて選択のポイントをつかみ、メーカーや販売店のページで実際的な情報を得る。しかし結局のところ、大きな要因となったのは友達からの情報。「オリンパスのモデルには、ダイビングにも使えるオプションパーツがある」というものだった。
 ぱっとしない天気にベランダの洗濯物を気にしつつ、ひさびさに日本橋へ出かけた。恵美須町の駅を上がると、いかにも「電気・メカ」が好きそうなお兄さんから、洒落たカップル、あるいは諸外国の人々までが雑多とした群衆を形成している。道端のたこ焼き屋はずいぶんと繁盛している。それぞれの店先からはテープによる呼び込みの声が流れている。混雑した歩道を進みながら、タイ語を耳にしてなんだかうれしくなってしまう。
 2、3軒偵察して相場を把握してからメンバーズカードを持っているお店へ。閉店セールとかで大々的に安売りをしていた。狙っているオリンパスのC-920 ZOOMも、予想よりは千円ほど安い価格で出ている。実際に電源を入れたものを触り、特に違和感も感じない。さて、値段交渉である。とりあえずは本体だけ購入の意思を示して値段を下げてもらう。ある程度のところで「だったらさ、周辺機器もいっしょに買うから、まとめて値引きしてよ」とお願いする。ダイビング用のプロテクタとスマートメディアの読み取り機が購入リストに追加される。
 ぎりぎりまでの値段交渉を重ね、最終的に許諾の意思を示した上で最後の一言。「なんかつけてよ」。やはり電化製品はこのように買わなくては。と、いうわけでアルカリ乾電池をおまけしてもらう。
 種々の電化製品を携えた人々と共に地下鉄へ乗り込む。この手の買い物をして何が楽しいって、周囲の目を気にしつつも、いそいそと箱を開けて、たった今僕のものになったばかりの製品の説明書を車内で読むのがよいのである。
 さて、しかしデジカメで何をするかであるけれど今のところはやはり旅行に持って行こうかと思っている。とりあえずはゴールデンウィークの沖縄へ。もちろん水中世界も撮影の対象だ。
 だが、とりあえずは常時携帯するつもりでいる。これまでも何度か、「この情景を撮っておきたい」と思ったことがあったのでそのために。それはしかし写真を撮るというよりも、それを材料として何か文章を書きたいという欲求に基づく。でも、もしかしたらデジカメ画像のコーナーを新たにこのホームページ上に設けるかもしれない。
 とにもかくにもシャッターを切ることからこの春をはじめよう。


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