夏のストレス、解消
「今日は、よいよいよいやまで〜す」と谷口キヨコが相変わらずのハイテンションボイスでしゃべる土曜日午後のα-STATION。西宮北口の駅にも鉾の名前を記された提灯が並び、涼しげな鐘の音が流れている。
夏は嫌いじゃない。ただし汗をかくのは苦手だ。Tシャツ一枚だけという軽い格好でも、どうしても背中がべっとりして気持ちが悪い。そしてそれをどうにもできないというところが腹立たしくもあるが、寂しく諦める他ない。
肌が弱く、化学繊維はちりちりとして不快だったという子ども時分の記憶があるものだから、肌に直接触れるものはずっと綿100パーセントだった。吸湿性には優れているが、乾燥に時間がかかる。けれど、そういうものだと思っていた。
たまたまユニクロでドライシャツなるものが売り出され、「汗をかいても、すぐ乾く」というのがキャッチコピーだった。ポリエステルが混じっていたがものは試しと数枚買ってみた。そして、これがものすごく良い。汗をかいてもすぐ吸い取られるというところまでは綿と同じなのだが、その後が不思議なことにまったく感覚が違う。シャツはそれなりに湿っているのに、ほとんど気にならない。これまではどうしようもなかったはずの不快感が取り去られ、解放されたという思いすらする。
汗をたっぷり吸い込んだ綿のTシャツの感触を、水の淀んだ沼地のようなイメージだとすると、このドライシャツは山奥の清流の爽快感に例えられよう。バンコクとアテネの空気くらいの違いがあるとも言える。あるいは、べっとり甘い安っぽい日本酒と、よいバーで飲むキリリとしたジントニック。
日常的に、上から下までユニクロということが多い。いくらバーゲンシーズンだからと言って、デパートで服を買えば(買わないことはない)それなりの金額が出ていく。だが周知の通り、例えば若者向け横文字ブランドのショップで買う一枚のシャツの値段で、ユニクロではTシャツも半袖シャツも長袖シャツもあるいは靴下やトランクスだって買えてしまう。
そして何も値段だけではなく、最大のメリットは丈夫であることだと思う。クリーニングに出したり、ドライ用の洗剤で手洗いしなくても、ぽいっと洗濯機に放り込むだけでよい。そして生地がへたってくるまでに十分の時間がある。普段着という使用目的の範疇にはこれくらい適した衣料品を他に知らない。
タイミングのよいことに、学生時代から貯めていたポイントが満点になり5000円分の買い物ができる上に、今週はドライシャツのセール期間でなんと一着690円。
日が暮れかけた宵々山の日曜。出かける先は四条界隈ではなく、近所のユニクロ。今年は久しぶりに祇園祭へ出かけない夏が始まる。
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