立ち止まり、振り返る

 生活パターンが定まりつつあるので、少し立ち止まって家計をチェックしてみる。とりあえず残っている貯金と今後の状況と多少の余裕を見た上で、半月ごとに予算を決めてはいるのだけれど、オーバー気味である。
 内容を点検してみると、するまでもないけれど、「バッカス係数」がずば抜けている。減らした方がよいなあと思いはするけれど、現実的に色々と難しいような気もする。外よりは家で飲むということを心がけるくらいか。
 エンゲル係数は予想通り低い。一日200円くらいで済んでいる(コーヒー代などの娯楽的要素が高いものは別枠)。
 公共料金の中では、電気代の単価がかなり高い。最初の請求が来たときに驚いた。以来、エアコンは極力避け、扇風機で暮らしている。時期もあろうが、十分に快適である。
 逆に水道代は安くて、1ヶ月で500円もしない。用途はシャワーとトイレと洗面、それにビールの空き缶をゆすぐくらいだけど、それにしても安いと思う。都市部は大丈夫だという話しも聞くが、やっぱり飲用にはしたくない。
 今の住まいには洗濯機がない。近くのゲストハウスが「洗濯1キロ50バーツ」の看板を掲げているので、そこを利用している。通学のついでに立ち寄るが、その時間帯に出会うお店の人は、無愛想で、量りの目盛りを多少多めに見積もる傾向があるので、あまり好きじゃない。こちらが声をかけても、自分の用事を片づけてからやって来る。でも、夜になって引き取りに行くときに対応するお姉さんは、笑顔が柔らかくて好感を持てる。
 バスタオルやタオルケットなどの、自分でじゃぶじゃぶ洗えないこともないけれど、手間のかかるものを主だって出している。でも、次第に怠けてきて、Tシャツや靴下や下着なども一緒に出すことが増えてきた。
 その結果、「洗濯係数」が思いの外に突出してしまっていた。
 大学へはアイロンのかかった襟のあるシャツで、というのは僕が自分に課したルールの一つである。大したことではないけれど、個人的な心構えの問題として。だから、とりあえずシャツ類は洗濯屋に任せる。アイロンは1着につき12バーツ。でも、それ以外の細かなものは、ちゃんと自分で洗うようにしなければ。
 と、思いつつ、ここ3日ほど貯めてしまった。今は学期の合間の休みなので、朝のシャワーの際に時間をとってまとめて洗う。浴槽に水をはり、足でじゃぶじゃぶ踏んづける。細かい部分は石鹸をつけたブラシでこする。毎日少しずつであれば大したこともないけれど、まとめてしまうと結構な労働量だった。夏休みの宿題みたいだ。
 そのついでに浴槽をピカピカに磨いた。朝からいい汗をかいた。こういう目的の結果としての発汗なら不快ではない。ただ走るとか、腕立てをするとかいうのは苦手だけれど。
 「将来何になりたいのだ?」と訊かれて、いつも「専業主夫」と答えているのは、まんざら冗談ばかりでもない。実際にそういう行動が好きだし情熱をかけられるのだ。そのエネルギーの向く先と、結果を得られる場所が、小さくてそして親密なサークルだというところも僕の傾向にぴったりくる。
 いや、これは逆なのかもしれない。僕は、小さくて親密なサークルに向かって情熱を注ぐことが好きなのだ。


戻る 目次 進む

トップページ