SQ初搭乗
そのサーヴィスには世界的な定評のあるシンガポール航空。大阪、バンコク間を直行で結ぶ航空会社の一つである。日本で航空券を買う場合は、同じ直行でもタイ航空の方が値段が安く、またバンコク発券の必要があるときには、安い料金は魅力なのだが時間の都合が合わず、結局はやはりタイ航空にばかり乗っていた。
今回は時間にも余裕があったので、初めてシンガポール航空に乗った。機体はボーイング777-200。シート配列は3人掛けが横に3列。広すぎもせず窮屈な感じもなく、居心地のよいサイズ。
エコノミークラスでも全席にクリスワールドというエンターテインメントシステムが設置されており、映画、音楽、ゲーム、ニュースなどを手許のモニタとコントローラーで楽しむことができる。CNNニュースは、人工衛星から一時間ごとに最新の内容が配信される仕組みになっている。僕は使わなかったけれど、そのコントローラーはまた電話機にもなっており、側面のカードリーダーにクレジットカードを通すと地上と通話できるようにもなっている。
乗務員の態度はとても丁寧で親しみやすく、機内アナウンスの英語もはっきりと聞きやすい。ここ最近続けて利用していたタイ航空より、格段によい雰囲気である。
行きのSQ974便は夜10時過ぎの出発なので、夕食が供される。ワイン用のグラスを記念に、と前の座席のポケットに入れておいて、こっそりといただいて行くことにする。
デザートは「ヤマイモのシャルロット仕立て」、ふわふわしたムースのようなケーキだった。一口食べてみて、「あ、美味しい」と驚いた。デザートまで美味しい機内食というのも初めてだ。
なるほどと言うか、配布されたメニューの飲み物リストの中には、かのシンガポールスリングが並んでいた。もちろん、一杯頼んでみる。
しかしそれにしても、機内はがらがらである。300席近くあるのに、その三分の一も乗客がいない。SARSの影響だろうが、他人事ながら驚いた。隣の2席の肘掛けを上げて、ごろっと横になろうとした瞬間に、気流の悪い場所を通過しているのでシートベルト着用をとアナウンスされる。
飛行時間は予定より早く、わずか4時間半ほど。少しうつらうつらとしていたら、もう関空到着である。予想していたよりも肌寒い。湿度の低さが唇や肌をぱさつかせる。
桜は既に盛りを過ぎており残念だったが、日本滞在でやりたかったことの一つ、「瀬戸内の魚をつまみながらよく冷えた日本酒を飲む」を神戸の街で達成して大満足。タイでも刺身は食べられるけれど、やっぱり身の締まり具合と磯の香りの高さは比べものにならない。ただ、ドタバタの中で「551の豚まんを頬張る」の方は、すっかりと忘れてしまっていた。
帰りの便もやはり50人程度しか乗っていない。今度は6時間かけてバンコクへ。ソンクラン(タイ正月)二日目のこの街は、間違った場所に降り立ったのではないかと思うほどに、静かな昼下がりだった。
次にこの空港から日本向けに出発するのはいつになるのだろう。とりあえず、6月の終わりに全日空で、バンコク〜東京〜千歳〜東京〜伊丹というルートをマイルの特典航空券で持っているのだが、もしこの他にも大阪に帰ることがあるなら、ぜひシンガポール航空で飛びたいものだ。
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