マンゴー餅米添え

 抜けるような青空に目を細めていたら、ざわざわと風が吹き始め、にわかに集まった雲が雨を落とす。しかし、さっと辺りが湿ったかと思うと、またすぐに日差しが照りつける。
 季節の変わり目は天候が安定しない。寒季から暑季へうつろう3月ごろに降るこんな雨を、タイ語で「マンゴーの花房を洗う雨」と詩的に表現する。一雨ごとに膨らむ樹上の実への期待をこめて。
 そして、たわわに実ったマンゴーは、今がまさに旬。
 柔らかく熟れた実から、とろけるように甘い果汁が口いっぱいに広がる。独特の香りが鼻腔を抜ける。
 果肉をそのまま口にしても言うことはないのだが、そこに餅米を添えると、カーオニアオ・マムワンという、デザートの一品に仕上がる。
 ココヤシの果肉を絞ったココナツミルクに、砂糖と塩を加え加熱する。長粒のタイ米の餅米を蒸し上げ、熱いうちにココナツミルクを加え十分に蒸らしておく。
 実に数十に及ぶ品種があるが、甘味が濃く、筋のない、そして種子の小さい「花の蜜のマンゴー」と呼ばれる種が好んで用いられる。縦に皮を剥き、種を除くよう三枚におろし(?)一口大に切ったマンゴーを皿に盛りつける。このとき、バナナの葉を敷けば、彩りも美しい。
 ここに、先ほどの餅米を添え、塩を加えて火を通したココナツミルクをソースとして垂らす。
 マンゴーの鮮やかな黄色、餅米の半透明な白色、ココナツミルクは柔らかな乳白色。舌の上には、甘味と塩味と濃厚な旨味。
 南国ならではの、取り合わせの妙である。

神戸新聞/2005年5月6日掲載


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