ニガウリ肉詰めスープ
身体も溶けてしまいそうなあまりに暑い日には、ゲーン・チュート・ヤット・サイはどうだろう? 豚肉をニガウリに詰めて煮込んだスープ。
沖縄のゴーヤー・チャンプルで知られるように、日本でもニガウリは一般的になってきたが、そもそもは、アジア、アフリカの熱帯地域が原産。
各種の栄養価が高く、豊富に含まれるビタミンCは、調理してもほとんど失われない。タイでは昔からその「苦み」に薬効があるとされ、病人の養生食に用いられてきた。
さらに、インドのアーユルヴェーダや、アラビアのユナニー医学などの、各国の伝統医学でも利用されてきた。明代の「本草綱目」、江戸の「大和本草」にも、解熱や疲労回復についての記述がある。
最近の研究では、血糖値を下げる効果も明らかになっている。
タイで主に見かけるのは二種類。緑が濃く卵程度の大きさの「鳥糞ニガウリ」と、「中国ニガウリ」
後者は、緑色は薄く、特徴的なイボイボもなく、むしろ畝のようなモコモコが縦に走っている。
それをぶつ切りにし、種を取り出し、内側にスターチをはたいておく。塩コショウとナンプラーで下味をつけた豚のひき肉に、ニンニクのみじん切り、春雨を混ぜて詰める。これを豚のスープストックでことこと。
椀に盛って、コリアンダーを飾る。
琥珀色のスープはすっきりした味だが、溶け出した苦みが舌の奥の方を刺激する。スプーンでつきくずし、豚肉とニガウリを一緒に食べる。
背筋がシャンと伸びるような心地よい苦さである。
神戸新聞/2005年8月19日掲載
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