▼グルジアのトビリシに留学していた児島さんの場合
そもそも2年間の滞在で、やって来た知り合いが一人、とのこと。児島さんのメールによると「グルジアには日本料理店もないし、和食の食材もほとんど手に入りません。ちょっと高級なスーパーマーケットでたまにベトナム製とかロシア製とか書いてある怪しげな『ショーユ』が見つかるのがせいぜいで、味噌やかつおぶしなど夢のまた夢。懐かしい味が恋しくなってくると、(これもかなり怪しげな)中華料理店で麺やら麻婆豆腐やらを注文して口をなぐさめてました(ただし麻婆豆腐を注文しても、三回に二回くらいは、『今日は豆腐が無いからだめ』とにべもなく断られる)」
そんなわけで、持って来てもらったのは「レトルトのカレーとかカップラーメンとかそんなインスタント食品」
その他にも、「知り合い以外で、仕事で日本からグルジアに来た人の通訳をすることが幾度かあったのですが、そういった人たちから、もう読んでしまった新聞・週刊誌や文庫本をちょくちょくもらうのはすごくうれしかったですね。インターネットが発達したおかげで日本のニュースは毎日チェックしていましたが、新しい新聞や週刊誌の活字を読むのはまた全然別で、隅から隅まで一字一句舐めるように読みながら幸福感に浸ってました」
▼カナダのトロントに留学中の黒川さんの場合
リクエスト率の最も高いものは、AERA。黒川さんによると「トロントでは日本の新聞や雑誌(トロント発行の日系新聞紙を除く)が国際交流基金などで立ち読みでもしない限り、オンタイムで手に入らないので、一番リクエスト率が高いです。重たいものでもないし、来訪者が飛行機の中で読んでもいいし、とっても良心的な(?)リクエストだと思うのですが……」
「先の小さめな歯ブラシ。ここの歯ブラシはどうも頭の部分が大きくて磨くのに苦労します。骨格の違いでしょうか、歯の裏側まで届かず、どうしても歯がツルツルにはならないんです」
日用品でいくとさらに「100円ショップで売られている下着ネット」。「アパートは共同ランドリーが地下にあって、そのランドリーで洗濯をするのですが、洗濯機、乾燥機ともに凄いスピードで回っていて、かなり早くダメになってしまうんです。チャックがぼろぼろになったり、穴があいたり。なので、次に誰かが来る時は、持ってきてもらいます」
また、もみじ饅頭を携えて幼馴染みがやって来たとき、その「もみまん」に感動したのみならず、「彼女の使っていた生理用品がとっても良く、帰る時に全部置いていってもらいました。日本製のナプキンはすごいです。カナダ製でも十分ですが、日本製は(しつこいですが)強力です」というエピソードも。
▼アメリカのテキサスに留学中の谷口さんの場合
友人知人の来訪は「一年に一人ぐらい」。「アメリカとは言っても中南西部、おまけに最寄りの空港(日本からの直行便はもちろんなし)から車で飛ばして3時間半という所に住んでいるので、多分、行き帰りだけでトータル2、3日かかる。時差もあるし。『遊びに行きたいんだけど、お前のところまで、どれくらいかかる?』と聞かれて説明すると、大抵絶句されてしまう。無理もないけど」
しかも、飛行機やアムトラックのトラブルで「まともに私の家までたどり着けないのが、ジンクスのようになっている」というおまけつき。
そんな土地に暮らす中で、うれしいのはやはり「日本の雑誌(ジャンル問わず何でも)、書籍、それに漫画の単行本」。漫画は時としてオンラインで現地から注文することもあるけれど、「送料が本代と同じぐらいになってしまうのが痛いです」
そして日本食。「柿の種、春日井の豆菓子シリーズ、板角のゆかり(えびせんべい)。あとはマルシンのハンバーグとイシイのハンバーグ」「ほていの焼き鳥缶詰、すごーくうまかったのを覚えてます。 どんなに現地に同化していても、やっぱり日本のものは懐かしくなりますよ。 第一、ここは内陸で、新鮮な魚介類はまずないし」
少しばかり余談を。「キリンの毬花一番搾り」を持ってきてくれた友人に、「どや、バンコクはなんでもあるやろ。なんか『これはないんちゃう』ってもんあったら言ってみ。まあ、どれもあると思うけど」と自慢げに言ったところ、しばし頭をひねった彼女の答えは「立ち飲み屋」
完敗である。